◆オランジュリー美術館

 世界の美術史に残るビッグアーティストの作品が、常設展示でいつでも見学することが出来た。さすが「芸術の都パリ」である。6年間の大改造工事が終えて近代的な建物に生まれ変わって、2006年5月に再開したオランジュリー美術館。ここには印象派からエコール・ド・パリまでフランス近代絵画の秀作が集まっている。

 ルーブル、オルセー、プチ・パレの世界を代表する美術館に囲まれたチュイルリー公園の南西端にオランジュリー美術館はあった。足は歩き疲れてパンパンに張っていた。しかし館内に入ってすぐの所に「睡蓮」の大作を目にした時は大いに興奮した。天窓から柔らかな自然の光が降り注ぐ大きな部屋に、楕円形の壁全面に高さ2m、8点から構成される連作は感動であった。中央の椅子に腰かけて360度見渡していると、そこはあたかも睡蓮の浮かぶ池にいるような気分にさせてくれる。私にとって至福のひと時であった。

 その他には画商ポール・キョームと実業家ジャン・ワルターの私蔵コレクション144点が展示されている。ルノワール、セザンヌ、マティス、ルソー、ローランサン、ユトリロのほか、外国人画家ピカソ、モディリアーニ、スーチンらの作品を間近に見られる贅沢な展示は、とても日本では味わえないものであった。

 入口で日本語のオーディオガイドを借りて説明を聞くと、一層作品に対する関心と興味を深めることになり、少々見学時間が長くなってしまった。しかし同じ見学するにも絵の構図だけを見て回るだけでは価値は半減だ。私は今回の美術鑑賞で「作者の心」を知りたいと挑戦してみた。その気持が少し解るような気分になったように思う。

撮影2009年冬