◆オルセー美術館の魅力

 「私はルーブルよりもオルセーの方が良かった」とは美術に造詣の深い後輩の言葉である。それゆえに是非オルセー美術館には見学したいと思っていた。ルーブル美術館を出てセーヌ川を渡ると斜め右にオルセー美術館はあった。

 ここはオルレアン鉄道の終着駅として、1900年に建てられて駅舎の建物をそのまま再利用したもの。そして美術館としてスタートしたのは僅か22年間の1986年からのこと。このオルセーにはルーブル所蔵作品以降の、1848年から1914年までの美術品を中心に収蔵されている。

 その時代は折しもモネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌらの印象派画家たちの華やかなりし時代であった。これらのビッグネームゆえに私の後輩も、親しみを持ったのであろうと想像した。

 作品には学生時代に見た美術の教科書で見たものもあった。ミレーの「晩鐘」「落ち穂拾い」、ルノワールの「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」「ピアノを弾く娘たち」、モネの「睡蓮」「日傘の女」、マネの「笛を吹く少年」、ドガの「青い踊り子たち」等々。この日はピカソの特別展も開催されており、ひと際見学者がその一角に集中していた。更にロダンの「地獄の門」やクローデルの彫刻もあり、ジャンヌも多彩で見ごたえのある展示であった。

 十数人のグループに分かれて地元の中学生たちが、ガイドの案内のもと熱心に見学していた。日本に比べれば素晴らしい環境にあり、本当にうらやましい限りであった。この日は一部の展示場が模様替えという理由で入場無料となっていた。これだけの宝物をたくさん見せて頂き、私にとっては至福のひと時であった。さすが「芸術の都パリ」に感謝だ!

2009年冬