◆木の根橋の生命力

 時として自然は不思議な現象を演出してくれる。それは人間の常識を遙かに超えた驚きの世界でもあるのだ。特に世界自然遺産に見る鹿児島県の屋久島での屋久杉の巨木。アメリカ・ヨセミテ国立公園の直径10メートルのセコイアの巨木などがそれにあたる。

 兵庫県丹波市には「木の根橋」という変わった名称の橋がある。一般的には「柏原(かいばら)の大ケヤキ」と呼ばれている。これは樹齢千年とも推定され幹径6m、樹高21m、枝張各25m。根が川幅8メートルの奥村川をまたいで伸びていき自然の橋を造ったもので、根のトンネルの中を川が流れている。この巨木を見る限り人間でいえば100歳を超える長寿なのであろう。今では2本の支え木が痛々しくもあり、まるで松葉杖を突いているように見えた。しかしその生命力の偉大さに心から敬意を表すると共に、次の世代へも逞しく生き抜いてほしいとの祈りが込み上げてきた。ちなみにこの木は1970(昭和45)年には兵庫県指定天然記念物となっている。

 ユニークな建物の柏原町役場は2004(平成16)年に6つの町が合併して丹波市が発足した。したがって現在の役場は丹波市役所柏原支所に名称変更している。その支所と観光案内所に挟まれた処に「木の根橋」はあった。この大ケヤキは町の中心にありシンボル的存在でもあるのだ。シンボルはいつまでも元気であり続けてほしい。それが皆の願いであり私たちも勇気と生きる希望を与えてくれるのだと信じている。感謝だ!

2008年秋