◆下町の味・もんじゃ焼

 NHK連続ドラマ小説「瞳」が毎朝の私の楽しみにとなっている。舞台は東京の下町・月島、及び築地市場周辺。物語は20歳の主人公・一本木瞳がストリートダンスの世界で成功することを夢見ている。そして里親(養育家庭制度)での家庭内の様々な涙と喜びのドラマが展開されていく。その中で人の溜まり場となるのが「もんじゃ焼」の店であった。「瞳」ファンの人であれば、一度は食べてみたいと思ったのではないだろうか。このドラマは2008(平成20)年3月31日から9月末までの半年間に渡ってテレビ放映される。

 もんじゃ焼といわれても知らない人にとっては、想像すら出来ない食べ物であると思う。お好み焼とよく比較されるが兄弟のように思えばよい。その語源は子供達が鉄板の上で文字を書いて焼いたことから、「文字焼」と呼ばれていたものを「もんじゃ焼」に変化していったとのこと。

 月島の小さな町には今や60軒を超える「もんじゃ焼」の店があるという。私には町の全てがもんじゃ焼の店に見えてくるように思えた。小麦粉を溶いて薄く広げ、そこにキャベツをベースに豚肉やエビ、イカなどの海産物から明太子、もち、チーズなどの具材を混ぜ込んで焼くのである。そして小さなコテで捏ねるようにして口に入れる。鉄板の上で焼きながら皆で突き合って、アツアツを食べるのは格別の味なのであろう。

 私の住む神戸市長田区は同じ下町の味でも「お好み焼」となる。小さな区内には同じように60軒以上の店がある。私の家の隣にも妹がお好み焼の店を30年以上も頑張っている。同じ下町の味・庶民の味「もんじゃ焼」と「お好み焼」。そこは下町特有の温かい人間交流の場所でもあるのだ。ちなみに私は「お好み焼」の方が好きです。

2008年夏