◆信楽焼の町

 いつの頃からか焼き物に興味を持つようになった。おそらく佐賀県の有田焼を見学してからであろう。それ以降、陶器と磁器の違いもそれどれの良さもわかるようになった気がする。今では毎日使う食器に拘り、外食した際にも興味深く楽しめるようになった。デパートの食器売り場では、何時までも飽きずに見学も出来る。そのお陰で幅広い人生の楽しみを得たように思う。

  滋賀県甲賀市信楽町は琵琶湖の南に位置しており、1250年の伝統を誇る信楽焼は、日本六古窯の一つとして日本最古の産地である。その歴史は742(天平14)年に聖武天皇が紫香楽宮の造営に、布目瓦、什器の須恵器を焼かれたことから始まっている。その後、技術は発展し様々な焼き物が生み出されていった。

  特に信楽焼の代名詞ともなっている狸の置物は明治時代より始まり、1951(昭和26)年に昭和天皇が信楽町行幸の際、たくさんの狸たちに歓迎されたことに感銘され歌を詠まれた。その逸話によって全国にその名が知られるようになった。

  この焼物は狸が「他を抜く」との洒落からも、商売繁盛の縁起物として親しまれるようようである。顔をよく見ると実に愛らしく茶目っけもあり、人気者であることがわかる。そう言えば私の行きつけの店の入口にも、小さい狸が飾られていたことを思い出す。その店が繁盛しているかって?それは分からないが狸オヤジだと客は皆そう言っている。

撮影2008年秋