◆松尾芭蕉の故郷

 是非一度訪ねてみたい場所があった。俳句を始めて2年余りが経つ。それは漂泊の詩人「松尾芭蕉」の故郷である。紀伊半島の内陸部に位置する大阪と名古屋の中間地・三重県伊賀市。古来より奈良、京都に隣接し交通の要所であると共に、そこは大自然に恵まれた四季の移り変わりが美しい城下町・宿場町でもあった。芭蕉は1644(正保元)年に松尾与左衛門の次男として出生。2男4女の3番目で、兄のほか姉一人妹三人の兄弟がいた。

 故郷の町・上野での芭蕉は10代後半の頃、俳諧が盛んで先輩俳人達に手ほどきを受けている。20代前半では時折俳諧の修行のため京都まで出かけ、必要な学問を学び打ち込んでいった。そして29歳にして俳諧師としての人生を賭け、決意を胸に江戸へと旅立って行った。

 漂泊の詩人・松尾芭蕉が誕生した理由には様々な要素があるであろう。浅学な私なりの分析をさせて頂くと@日本の四季がはっきりとした自然環境に恵まれた地に生まれ育ちその感性が養われた。A地域文化に俳句が盛んであった。B二男のため家系に縛られることなく自由がきいた。C交通の要所にあり政治経済をはじめ社会の情報を入手し易かった。D健康な身体に好奇心旺盛な情熱等々。挙げれば限がないがそれらを全て包含し、自分の人生の全てを好きな俳句に努力し続けた結果であると思う。私の尊敬する偉大な生き方の人物の一人であるのだ。

 生家は大通りに面した立派なものであった。芭蕉は旅の途中で度々帰郷した時に詠んだ1つの句「古里(ふるさと)や臍(へそ)のをに泣(なく)くとしのくれ」の立派な碑が建てられていた。

2008年秋