◆黒門市場の活気

 年末の風物詩で東の横綱といえば、何といっても東京・上野の「アメ横」であろう。それでは西の横綱はどこだろう?大阪・日本橋にある「黒門市場」ではないだろうか。ともに威勢のいい掛け声が飛び交い、商店街は人の活気で溢れ返っている。アメ横のマグロの刺身は飛ぶように売れ、黒門市場のフグも高価なものであってもこの時期、見ている間に売れてしまう。

 大阪の台所と呼ばれる黒門市場は、嘗てNHKの朝の連ドラ「ほんまもん」のロケ地にもなったため、一躍全国的に有名になってしまった。関西では年末になると必ずテレビ中継が入り、新年を迎える準備と共に、その年の経済状況を反映するバロメーターにもなっている。

 黒門市場の由来は明治末期まであった圓明寺の黒い山門から来ており、180年余りにも及ぶ歴史がある。全長580mの狭い所にもともと魚の行商人が集まってきた市場だけあって、鮮魚類のお店が多く目立っている。今では食卓の品は勿論、生活に必要な日用品も並び、ぶらぶら見て歩くのも楽しい時間となる。食品の購入の多くは大型スーパーが主流となった今の日本。魚屋さんの主人とも、八百屋・果物屋のおばちゃんとも、気軽にしゃべりながらの商売は過去のものとなりつつあるようだ。

 黒門市場の一角にある寿司屋に入った。安くて旨いが大阪「くいだおれ」の伝統商売だ。ネタは新鮮そして手頃な値段は客にとって嬉しい限りだ。黒門市場の中にあるだけに何故か全てが新鮮に見えてくるから不思議だ。「勘定!えーそんなに安いの?」 

2008年冬