◆今治の海城

 瀬戸内海には淡路島を始め、小豆島など約3000もの島々が浮かんでおり、自然はこれらの美しさを様々な形で私達を楽しませてくれる。ここには10県が海に面して取り囲んでおり、これまで経済面を始め生活と密着した恩恵を多岐に渡って受けている。

 そのなかの愛媛県今治市も、商工業都市として海の恩恵を受ける町の一つであった。更には地中海気候ならぬ瀬戸内気候により、四季を通じて温暖で雨が少なく晴天の日が続く独特の気候を持つ。造船業、食品業、それにタオルの生産日本一など、日本経済に大きな影響を与えている。

 海に程近い所に「今治城」は美しい姿で立っていた。お堀に竿を立てていると鯛を始め、海の様々な魚が釣れるという。そう!ここは海水を引き入れた全国でも稀な平地の平城である。そして軍船を始め、船入部を設けた巨大な海城でもあるのだ。

 ここは1604(慶長9)年に、関が原の合戦で戦功のあった藤堂高虎が、伊予半国20万石の居城として築いた城である。内堀・中堀・外堀と三重の水堀を巡らした堀も、今は本の丸周囲の内堀しか残っていない。しかし幅の広い堀と、高虎築城の城によく見られる犬走りのある石垣、その上には復元された隅櫓、そして高々とそびえ立つスマートな感じの天守閣は実に美しい。 以後、徳川家康の甥にあたる血縁で、久松松平家が明治維新までの間、10代に渡り統治した。

 現在は5層6階の天守閣内は展示室として、武具、刀剣など2,500点を常設している。また広場ではさつき展、菊花展、盆栽展などが開催されている他、春祭りの継獅子競演も行われている。そして市民の憩いの場としてジョギング、ウォーキングの健康コースとしても利用されている。

撮影2007年夏