◆坊ちゃんスタジアム

 「坊ちゃんスタジアム」を初めて聞いた時、そのユニークなネーミングに驚きを隠せなかった。「坊ちゃん」とは夏目漱石の小説のタイトルである。それは「吾輩は猫である」を執筆中の1906(明治39)年に、「ホトトギス」4月号に連載されたものである。愛媛県松山市は夏目漱石にとって縁の地であった。大学卒業後の二番目の赴任先となった、松山中学での教師生活の経験が作品の背景となっている。

 松山中央公園を訪ねた。ここには様々な施設が見事な計画性のもと、近代設備を兼ね備えて配置されていた。野球場の「坊ちゃんスタジアム」をはじめ、サブ野球場の「マドンナスタジアム」、屋内運動場、多目的運動広場、テニスコート、プール、競輪場、そして武道館である。これらは2000年に入ってから広大なスペースのなか、順次建設・完成をしている。

 これらの中心的存在は何といっても「坊ちゃんスタジアム」であろう。2000(平成12)年7月にプロ野球の規格球場として、ナイター設備も完備して開場している。4階建ての観客席には、3万人を収容できるビッグスタジアムである。グランドは土と美しい天然芝が敷き詰められている。ドーム式でないため雨天の場合は中止となることも。また本塁を北側に設計され、野手がフライを取る時に太陽光線が目に入らないように、配慮されてた立派な球場である。

 ここではプロ野球の公式戦をはじめ、甲子園を目指しての高校野球愛媛県大会(63校が出場)など幅広い行事が開催されている。この球場から新しいイチローが、松井が誕生するかも知れない。そしてこの場所で感動の名ドラマが、幾度も繰り広げられるに違いない。

撮影2007年夏