◆道後温泉の湯

 温泉と聞いただけで何故か心温まり、身体休まる思いがしてくる。お風呂好きの日本人にとって、温泉には特別の思いがあるようだ。最近では町中にあってもスーパー銭湯が建ち、気軽に温泉気分を味わえる。ある意味でお風呂革命が、日本国中津々浦々に起こっているようだ。私も体が大きいこともあって、自宅の風呂やホテルの部屋に付いている小さな湯船よりも、広々とした大浴場が好きだ。

 愛媛県松山市にある道後温泉の歴史は古い。それは「日本書紀」や「万葉集」にも、伊予の湯として記されているほどだ。ここには多くの旅館やホテルが建ち並び、温泉街を形成している。お湯にゆっくり浸かり、美味しい料理に舌ずつ身を打ち、普段味わえないような贅沢な時間を過ごす。これが大方の日本人が希望する、身近な喜びのひと時なのかも知れない。

 道後温泉でのシンボル的存在が「道後温泉本館」であろう。木造三層楼の堂々たる姿は、ひと期は目を引く大きくて立派な建物だ。1894(明治27)年に旧松山藩の城大工・坂本又八郎によって建てられたが、どことなく城の面影もあり、館内は迷路のようになっている。また屋根の上には振鷺閣という刻太鼓があり、朝6時、正午、夕方6時の3回打ち鳴らされている。1996(平成6)年には温泉施設として、初めて国の重要文化財に指定されている。

 スケジュールの都合で折角ここまで来ていながら、歴史ある温泉に入れないのが残念でならない。この次は時間をたっぷり取って、身も心もリラックスして入りたいものだ。

撮影2007年夏