それは芸術であった。窓を開ければそこには姫路城の天守閣が見えた。思わずその美しさに感動の声を上げてしまった。まるで一幅の大きな絵画を見ているようでもあった。計り知れない高価な絵であることは間違いない。友人宅を訪問した時の思い出である。
1993(平成5)年12月。ユネスコの世界文化遺産に奈良・法隆寺と共に登録された姫路城。その前に国内にあっては城として、姫路城のほか、犬山、松本、彦根が、国宝に選ばれる至宝でもあったのだ。
姫路城の歴史は古い。鎌倉時代に天皇を守らんと挙兵して、姫山に砦を築いた赤松則村から明治維新まで、城主は13氏48代を数える。その間、羽柴秀吉の中国大返し、徳川家康の孫娘・千姫のお興し入れなど、数々のエピソードが残されている。
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