◆昔の町並みに思う

 昔のままの佇まいを今に残す町がある。そこに入るとまるで江戸時代、明治、大正、昭和初期にタイムスリップしたような錯覚を覚える。ここは貴重な文化・歴史の香りがするロマンの町なのだ。

 兵庫県赤穂市東部に位置する坂越湾。そこに通ずる港町も、その1つであるかも知れない。都市景観大賞にも選ばれた伝統的建造物群による町並みは、日本の故郷のような雰囲気を持っている。落着いた佇まいの通りを、ゆったりとした気分で歩いていると、猫も同じようにのんびり歩いていた。

 ここ「坂越」は兵庫県の西の端にあり、赤穂浪士で有名な赤穂市にある。瀬戸内海の播磨灘に面した天然の良港・坂越浦の港町として、古い歴史を誇っていた。江戸時代には西国大名の参勤交代の港として、廻船業の拠点として発展している。

歴史ある建物の前でゆっくりと眺めていると、何処となく不思議な風格を感じてくる。白壁、倉庫、蔵、それぞれに重みがあり長い歴史が流れているようだ。日本の一時期に繁栄した素晴らしい文化が、そこにあるように思えてならなかった。

 通りを抜けると坂越湾に出る。そこには海水浴場となる砂浜が開けていた。以前、この湾に豪華客船が停泊しており、ホテルとレストランを長期に渡って営業していた。2〜3度宿泊したことを懐かしく思い出す。そして近くにはカキの養殖工場もあった。更には大手製薬会社もあり、昔の面影を残す歴史の町は、生きていくための手段であろう、その時代とともに大きく変化しているようだ。

撮影2007年春