◆日本のエーゲ海「牛窓」

 日本晴れのこの日、牛窓は真っ青な空と、光り輝く青い海が溶け合った、美しい自然に包まれた楽園と見えた。ここ岡山県瀬戸内市牛窓は日本のエーゲ海といわれるリゾート気分いっぱいの湊町。その昔、この地を訪れたギリシャ人が、生まれ育った故郷エーゲ海の風景と似ていることに感動。そうした逸話から牛窓は、「日本のエーゲ海」と呼ばれるようになった。

 海岸線の細長い町並みと、美しい海に無数の島々を見下ろす山の斜面は、やわらかな緑で覆われていた。それは約3000本のオリーブの木であった。ここからオリーブの島・小豆島がすぐ近くに見えている。この辺りは地形的にも気候も、地中海に似ているのかも知れない。

 しかしここの魅力は何といっても、美しい海が全てであろう。港の突堤先に立っていると、爽やかな風が頬を打ち続ける。近くで大勢の人盛りがあり何かの式典をしていた。近寄ってみると釣大会の表彰式であった。日焼けした太公望達が喜びの歓声を上げていた。そして周りの海を見ると色とりどりの帆が、まるで海面を滑るように走っていた。ヨットセーリングである。ここはヨットやクルーザー約400隻が停泊できる西日本最大級のヨットハーバーの町でもあるのだ。

 この辺りは「日本の夕陽百選」に認定されているだけあって、瀬戸の静かな海に映る夕陽は最高のロマンチックであった。そして海辺にも丘の上にも、エーゲ海を思わすユニークなリゾートホテルが目に付いた。いつの日か本物のエーゲ海を、私のこの目で確かめてみたいと思った。

撮影2007年春