◆平安の都

 日本人と同じ顔をしていても、会話を聞いてみると中国人であったり、韓国人であったりすることがある。日本を代表する観光地・京都は、世界遺産の指定もあって世界各国から毎日のように、多くの人が見学に来られる。京都市美術館を訪ねたが、少々時間があったので平安神宮を歩いてみた。そこで驚いたのは観光客の話す言葉は、日本語よりむしろ外国語の方が多かったことである。

 この平安神宮には小学校の4年生の時に、遠足で来たことを覚えている。今から45年以上前のことである。その時に見た佇まい、周りの風景は今と全く同じであった。歴史を保存し同じ状態で維持し続けることは、如何に凄いことなのかと感じられた。恐らくこれから先の50年、更には100年経ったとしても、同じ光景であろうと思えた。

 さて日本の歴史を紐解いてみると、明治維新によってこれまで長く歴史を保ってきた京都より、東京へ都が移ったことは、多くの人に大きな失望と打撃を与えてしまった。その後の京都の衰退振りは、目を覆わんばかりの状態であった。しかし京都復興への市民の熱き思いと、全国からの応援を頂いての町興し。それら一連の事業の結実が、平安神宮の創建でもあったのだ。その意義は1895(明治28)年に平安遷都1100年を記念して、第50代桓武天皇をご祭神することとなったのである。

 794年の平安遷都以来、1200年余りの歴史を持つ古都・京都は、国際文化観光都市の指定を受け古都保存法が適用されている。国宝200件、重要文化財1000件以上に及ぶ。ここは町全体が歴史博物館のような気がしてならない。

撮影2007年春