◆芦屋の友

 昨年の秋、私の友人が神戸から芦屋の山手に引越しをした。長年の努力が実って事業に成功している。様々な理由があっての引越しであろうが、私は心から喜んでおり、お祝いを申し上げたい。その後、近くに寄ったので訪ねてみたが、生憎の留守であった。しかし外から見るご自宅は、広い庭の奥に高台があり、スペイン風の明るい色彩の豪華な建物が聳えていた。窓越しに見える室内にはシャンゼリアが輝いていた。

 芦屋は古くから大阪・神戸で成功した事業家達が、自然豊かで美しい景観を求めて居住した場所である。北には緑の六甲山系をバックに、南には大阪湾が一望出来る高級住宅地だ。しかし土地の面積が狭い芦屋は、近年になって大阪湾を埋め立て、海岸線に大きな広がりを見せている。

 この場所に幾つもの高層マンションが建てられており、私の友人が数年前に引っ越してこられた。近くの海岸沿いに素敵なレストランがあり、旧交を温める機会が持てた。窓から見えるトワイライトの美しいロケーション。美味しいフランス料理を味わいながら話は尽きなかった。久しぶりの出会いと語らいは、私にとって至福のひと時であった。目の前にはヨットハーバーがあった。彼は「あそこに見えるのが私のヨットです」と。

 友が成功している話を聞いたり、その姿に接する時ほど嬉しいことはない。けっして最初から良い暮らしをしていたわけではない。特に芦屋に住む私の友人の多くは、大変な努力と頑張りに成功した人生の勝利者達なのだ。私はこれらの人に心から拍手を贈りたい。

撮影2006年冬