◆唐古・鍵遺跡

 2000年の遥か昔に思いを寄せて、歴史を辿ってみたい。弥生時代は紀元前3〜4世紀から、紀元後3世紀の終わりまでの約600年間の期間を指す。同じ時代であった静岡県の登呂遺跡を以前訪ねたことがある。そこでは米が作られていたことが分かっている。弥生時代は日本人が本格的に、米を作り始めた時代でもあるのだ。そして終わりは前方後円墳を造るようになるまでの期間をいうのである。

 奈良盆地中央部の田原本町に「唐古・鍵遺跡」はあった。ここの推定規模は東西500m、南北600mに及ぶ、弥生時代における日本最大の農耕環濠集落遺跡である。ここには土器・木器・石器・骨角器など、多種多様の出土遺物が発掘されている。特に木器の製作技術は、高水準にあったことが確認されている。

 1991(平成3)年の47次調査で、出土した土器に描かれていた楼閣が復元されていた。国道24号線を南下していると、左手にユニークな建物を見ることが出来る。それは唐古池南西隅に、高さ12.5mの2階建の建物であった。柱は太さ50cmのヒバ材4本が使用されており、茅葺屋根で壁は外面網代で、内面は板になっている。渦巻状の屋根飾りは藤蔓。屋根上の逆S字状の3本線は、木製の渡り鳥が東西に各3羽。これは祭事、儀式に利用されたものであろうと想像される。

 もしこの時代に今の私がタイムスリプしたら如何であろうか。外国と違って言葉が通じる分、溶け込んでいけるような気がするが・・・・・。古代ロマンに思いを馳せると楽しくなってくる。

撮影2006年夏