◆三渓園の宝

 大富豪となり、有り余ったお金があるとするならば、如何に使えば良いのか。経験なき私にとっては、はたと困ってしまう。まず美味しいものを食べて、身なりを整え、高級車に乗り、豪邸に住み、世界旅行でもしてみたいと思うのが大方の人であろう。しかし大事なお金を有効に使うには、とてもすぐに答えを出せるものではない。

 横浜市中区本牧三之谷の地に、敷地面積17.5万平方m(約5万3千坪)の考えられないほど広大な庭園を訪ねた。ここは三渓園と呼ばれ、明治時代に生糸貿易で財を成した実業家・原富太郎(号:三渓、1868〜1939年)によって作られたもの。大きな池を中心に起伏に飛んだ美しい日本庭園であった。

 原三渓は事業の傍ら古美術コレクターとして、平安時代の仏画の代表作である「孔雀明王像」(国宝)をはじめ、国宝級の美術品を多数収集。更には京都をはじめ全国各地より、古建築を購入移築して庭園の整備を進めた。そして1906(明治39)年に一般公開をしている。ここを散策していると、至る所で国の重要文化財建造物(10件12棟)、横浜市指定有形文化財建造物3棟を見ることが出来る。

 これまでの大富豪に共通する一つに、美術品の収集がある。これは日本も世界も同じだ。最高の趣味と贅沢の極致は、美しいものを集めることにあり、そして美しいものを見ることなのかも知れない。個人がこれらの財産を永久に、維持し続けることは極めて困難だ。それらの多くは一般公開されている。私達はそのお陰で、美しい宝物を観賞させて頂けることに感謝である。

撮影2006年秋