◆琵琶湖周航の歌

 世にカラオケが出始めた頃であった。カセットテープの音楽に合わせて、歌詞ペラを見ながらマイクで歌うのである。昭和50年前半。当時においては画期的な機械の出現に、スナックを始め、クラブ、居酒屋では大変な人気を博していた。オーケストラをバックに歌えるのである。上手に歌えば気分は最高、周りからも拍手がもらえた。まるで歌手になったような気分にさせてくれる。

 私の好きな曲の一つに「琵琶湖周航の歌」がある。これは1918(大正6)年発表された京都大学ボート部の歌である。1963(昭和38)年頃、加藤登紀子が歌って再流行した。広々とした琵琶湖の美しさを、哀愁を込めて歌う曲であった。出だしのイントロの部分を聞いただけで、雄大な気持ちになってくるから、歌は不思議な力を持っている。

 1, 我は湖の子 さすらいの 
     旅にしあれば しみじみと  昇る狭霧や さざなみの 
      滋賀の都よ いざさらば         

 2, 松は緑に 砂白き  雄松が里の
     乙女子は  赤い椿の 森陰に
      はかない恋に 泣くとかや 

 3, 波の間に間に ただよえば
     赤い泊まり火 なつかしみ
       ゆくえさざめぬ 波枕 
        今日は今津か 長浜か 〜♪ 

 これが6番まで続いている。美しいメロディーに歌詞も素晴らしい。しかし少々時代が古いこともあり、難しい漢字や言葉が所々で使われている。それを間違わずに歌うのは一苦労。反対に難しいだけに、パーフェクトに歌えれば株を上げる結果となるのだが。次にカラオケの機会があれば、広々として波静かな琵琶湖に思いを馳せ、「琵琶湖就航の歌」を優雅に歌いたいものだ。

撮影2006年秋