◆コウノトリの郷

 「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」とか、「幸せを運ぶコウノトリ」として、ヨーロッパをはじめ世界各国で愛されているコウノトリ。日本でも兵庫県豊岡市には、過って野生のコウノトリがたくさん生息していた。湿地や河川の浅瀬には、餌となるカエルやドジョウ、小魚、昆虫などの小動物が豊富に生息していた。ここはコウノトリにとって自然環境に適した地域であったのだ。

 しかし1971(昭和46)年を最後に、豊岡盆地に生息していた最後のコウノトリが姿を消してしまった。この時より日本でコウノトリを見ることは無くなった。

 兵庫県立コウノトリの郷公園(コウノピア)を訪ねたのは今回で2度目であった。ここは1985(昭和60)年に、ロシアより野生の幼鳥6羽を受贈してより、コウノトリの飼育、保護、繁殖に全力で取り組んでこられている施設である。コウノトリは鶴によく似た姿をしており、翼開長は2m、体重は4〜5kg、日本に生息する最も大きな鳥となる。

 今再び日本の大空にコウノトリが、元気に羽ばたく日が来ることを願って、関係者は必死で取り組んでおられる。その努力と成果は着実に進み、今では100羽を越えるまでの飼育に成功している。本当に嬉しいことだ。そしてこの施設の最大の目的の一つである、野性に帰す訓練も実行に移している。2006年8月3日現在、日本にいる野生のコウノトリは15羽となったのである。

 国の天然記念物になっているコウノトリ。これからも素晴らしい自然環境のもと、我われ人間と共存していくべく、長くお付合い願いたいものである。

撮影2006年夏