◆「水の詩」写真展

 自然は美しい。特に空、大地、そして水。動いていないように見えても、この世で止まっているものは何一つない。全てが動いているのだ。動いているから美しい。 「水の詩(うた)」というタイトルの写真展を見学した。それは大阪狭山市にある狭山池博物館で開催されていた。3階建ての博物館は建築家・安藤忠雄氏の設計によるもので、取り分け水庭が実に素晴らしいと思った。両サイドの建物の上から、高さ7m前後、延長50m以上もある巨大な滝のカーテンが、絶え間なく流れ落ちる光景は圧巻であった。2001(平成13)年3月に大阪府立としてオープンしている。更にすぐ隣には大きな狭山池があり、飛鳥時代に造られた国内最古の人工溜池があった。

 津田洋甫氏の50点あまりの水をテーマとした写真展は、このような恵まれた環境の中での開催であった。案内のハガキには「水の詩」が書かれてあった。「山に湧く、霧、雲が水滴となり、雨滴となって、草木を潤し、水滴はやがて渓流となり、谷を下って川となる。川は人々の営みを支えるとともに、大海に注ぎ、水は、また空へと還る」と。水の姿は場所によって絶えず変化している。水の美しさを捜し求めて、日本各地に旅を続ける。私にとっては羨ましいかぎりだ。

 一枚一枚の作品には、津田洋甫氏の永きに渡る思想・哲学・生き方のようなものが感じられた。そして大自然を相手に技術は当然ながら、必至の努力と限りない執念なくして、写しえない素晴らしい作品に巡り会えた。それはあたかも恋人にでも出会った喜びを感じた。嬉しかった。

撮影2006年夏