◆倉敷美観地区

 そこはまるで時代映画に出てくるロケ地のセットのようであった。白壁の重厚な屋敷、商店、倉庫などが、倉敷河畔の両側に見事に建ち並んでいる。ここは今から350年前の江戸時代に、幕府直轄地である「天領」として栄えた所だ。その町並みと建物が現在まで見事に残されている。江戸時代の不思議なこの場所とは、岡山県・倉敷美観地区であり、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

 一歩路地裏に入ると道は狭いが、白壁の佇まいが昔のままで残っており、美しいお城の白壁を連想させるように思えた。写真のアングルとしては最高で、私自身興奮してシャッターを押し続けた。そこには興味を引く小物類のお土産屋さんがたくさんあり、女性には楽しい町並みである。更にメインストリートには民芸館、考古館、郷土玩具館はじめ、各種売店、食事、喫茶など、ゆっくりと観光客を楽しませてくれる場所なのだ。

 路地をさらに進むと、ヨーロッパ風のゲートとに赤レンガが美しい「倉敷アイビースクウェア」に迷い込んだ。そこは明治時代に建てられた紡績工場を利用したホテルがあり、異国を感じられる所でもあった。更に「児島虎二郎記念館」、「オルゴールミュージアム」、「植物園」、「愛美工房」もあり、なかなか見応えのある贅沢な場所であった。

 美観地区の中央を流れる川の両サイドには、柳の並木が植えられていた。時折春の風に吹かれて川面にも柳が爽やかに写っていた。「この美しき町並みが後世まで伝え残されますように!」と、私はそう念願しつつ再びの訪問を誓った。

撮影2006年春