◆インフィオラータ神戸

 道路に花が敷き詰められ、美しい絵が描かれていた。近寄ってよく見てみると、色とりどりの生き生きとしたチューリップの花びらで作られたストリートアートであった。ゴールデンウィーク5月3日の朝、その日は素晴らしい日本晴れであった。一年を通してこんな爽やかで美しい空は、滅多に出会わないように思えた。何故か心までうきうきして来る。

 三ノ宮駅より北へ徒歩で15分。異人館で有名な北野坂を歩いてみた。インフィオラータを見学するためである。インフィオラータ(infiorata)とは、イタリア語で「花を敷き詰める」という意味。イタリア・ジェンツァーノ市では200年以上の歴史を持っており、ヨーロッパの各地でも開催されている。

 神戸での開催は、阪神淡路大震災で大きな被害を受けたこの地に、美しい花の芸術を通して復興と元気印になればとの願いが込められている。1997(平成9)年よりスタートして以来10回目を迎え、ルミナリエと共に今では春の風物詩として、多くの人に喜びと感動を与えている。

 花絵の題材には神戸空港の開港、のじぎく兵庫国体、スケートのイナバウアーなどのトピックスから、映画の名場面に至るまで様々。これら全てがチューリップの花びらで製作される。その数は神戸北野坂会場だけども45万本。一作品で3.7万本を使用するとか。このチューリップは富山県砺波市、新潟市から供給されている。

 少々朝が早かったためか、インフィオラータは製作中であった。一生懸命チューリップの色を揃えながら、道路上のキャンパスに置いていく作業である。「頑張って下さい。ありがとう」

撮影2006年春