◆WBC優勝カップ

 久しぶりに日本の国が一つの心となった。それは感動のドラマであった。「第一回ワールドベースボールクラシック(WBC)」が開催され、国別対抗戦として日本チームが出場した。2006(平成18)年3月のことである。王貞治監督率いる最強軍団の野球チームが結成された。まさに日本のドリームチームであった。イチロー、松中、福留、上原、松坂、大塚等々、素晴らしい選手達の集まりであった。

 プロ野球ペナントレースであれば、互いに敵味方の関係。しかし日本チームに選ばれた選手は、全てを乗り越え国の威信をかけて戦った。1次リーグでは中国、台湾に快勝したものの韓国に敗れる。2次リーグではメキシコに勝ったものの、米国、韓国に敗れ準決勝進出は絶望的であった。

 しかしメジャーリーグの名選手を揃えた米国が、メキシコ戦でまさかの敗退。微かな望みが実現した!日本チームは奇跡的に生き残ったのだ。ここから「夢と感動のドラマ」が始まった。準決勝は韓国戦となったが3度目の正直で6対0での快勝。そして決勝戦はアマチュア最強軍団のキューバと対戦。日本は10対6の劇的な勝利で、記念すべき第一回WBC優勝国に輝いたのだ。

 868本のホームランは世界新記録。それを打ち立てたのが現役時代の王監督であった。そして今は監督として世界を制覇しての優勝監督に。このような運命の元に生まれたとしか言いようがない、素晴らしい強運の持ち主なのであろう。2次リーグ韓国戦で再び敗れたその日に「僕の野球人生で最も屈辱的な日です」と。一転して奇跡の優勝後には「野球人生最高の日」と。そして「素晴らしい仲間と野球が出来て本当に嬉しい」とはイチローの言葉だ。 世界一の優勝を勝ち取った監督、選手、関係者に感動をありがとう!と、心からお礼を言いたい。それは私だけでなく、日本中の多くの方がそうであろう。時は過ぎ、彼等は今元の古巣に帰り、それぞれのチームのなかで活躍している。しかし別れ別れになっても、皆さんは世界一の賞賛を生涯与えられるに違いない。

撮影2006年春