◆旧古河邸の建物

 ここはロンドン郊外の閑静な住宅街ではないかと錯覚を覚える。それほど旧古河邸は、豪華な英国風の古い屋敷であった。東京JR山手線・駒込駅より北へ、徒歩12分の所に旧古河邸はあった。始めてこの建物を見たとき「わー、これはすごい!」と、思わず声を上げてしまった。どっしりとした重量感のあるレンガ造りの外壁と、天然スレート葺きの屋根。大きな窓を持つ洋館と、洋風庭園がまず目に付く。

 これらの設計は英国人ジョサイア・コンドル博士であった。彼は鹿鳴館をはじめ、旧岩崎邸庭園洋館、御茶ノ水にあるニコライ堂なども設計しており、日本の建築界に多大なる貢献をしている。もともとここは明治の元勲・陸奥宗光の別邸で、次男が古河財閥に養子に入って古河家の所有となったもの。

 洋風庭園にはバラが植えられているのであるが、この時期全て枯れ果てており春を待つ以外にない。その奥に進むと、そこには見事な日本庭園が広がっていた。中央の大きな池にはカモが2羽、つがいであろうか仲良く水と戯れていた。公園は心が落着く。特に池を擁する日本庭園はそうだ。ユニークなデザインの橋があり、様々な灯篭が立っていた。四季折々の木々が植えられており、一年中楽しませてくれる。大事な木には雪よけを施されており、庭園を大事に守っておられた。

 ここ旧古河庭園は今年の1月26日に、和洋が調和した秀逸で代表的な近代庭園として、国の「名勝」に指定されている。美しく価値あるものを大事にする、伝統を残して頂きたいと願っている。その宝をいつまでも、我々の子孫にまで受け継いでもらいたいものだ。

撮影2006年 春