◆ 金沢駅に思う

 駅舎はお客様を迎える町の玄関だ。駅舎の建物の大きさや形のなかに、その町の雰囲気や特色が凝縮されているように思う。JR金沢駅を下車してまず驚かされたのは、途轍もなく大きなガラスドームと、能で使われるツツミ形をしたゲートであった。近代化のなかに歴史文化をミックスしたユニークな歓迎であった。北陸地方では乗降客数が最多を誇っているのが金沢駅である。乗車人数は2万人を越えているとのこと。

 私は「特急サンダーバード」で大阪に帰るため金沢駅に着いた。少し早めに着いてしまったので、駅の構内や周辺を散策した。この駅は1898(明治00)年4月1日に開業している。もう100年以上も歴史があるのだ。駅ビルにはデパート、テナントショップやレストラン、みやげ物店がずらりと並び、ここが大都市であり、また観光地であることがよく分かる。私は純金を施した写真額を購入した。金大工は金沢の特産品でもあるからだ。

 人間が、物が移動するために鉄道が発達した。そして「駅」が生まれた。その目的は通勤、通学、買い物、旅行等さまざまである。明治以降、鉄道は日本経済を大きく発展させる原動力となった。ライフスタイルも変化していった。移動時間の短縮が可能となり、快適で便利になった。東京、大阪の鉄道案内図を見ると、まるで蜘蛛の巣のように様々な路線が張り巡らされている。

 しかし時代は絶えず変化している。高速道路、一般道路の整備により、自動車社会は大発展を続けている。何といっても「ドア ツー ドア」が便利で魅力だ。その結果、以前と比べて鉄道の価値観が低下しているのも事実である。便利な日本は更に発展し続けるであろう。

撮影2005年 春