◆恵みの宍道湖  

 自然は人間に恵みをもたらしてくれる。ゆえに自然を大切に守っていかねば、いつの日か人間も滅んでしまう。つまり自然と人間は絶妙の調和を保ちつつ、共生をしているのである。

 島根県の東部に、宍道湖という淡水と海水が交じり合う汽水湖がある。大きな町が近くにありながらも、今なお多くの自然に恵まれた貴重な場所である。特に海産物は有名で、なかでもヤマトシジミは日本一の漁獲量(全国39%のシェアで7500トン)を誇っている。朝の味噌汁の中でもシジミは最高の味だ。私も大好きである。その他の魚種も豊富で、淡水魚と海に魚が共に泳いでいるためなのであろう。スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、コイ、シラウオ等がいる。

 冬には白鳥やガン、カモなど2万羽を超す鳥たちが北方から飛来する。ここにはこれらの鳥たちを、満足させるだけのエサが豊富にあるのだ。これも自然との調和が見事に保たれている証拠ではないか。 宍道湖の面積は日本国内でも6番目の大きさで、周囲47km、東西17km、南北6kmの長方形の形をしている。東隣には「中海」という湖があり、大橋川で共に繋がっている。宍道湖の西に沈み行く夕日は、言葉では言い尽くせない美しさで、多くの人の心に感動を与えている。

 人間の科学と技術は限りなく発展し続けている。時に自然をも征服することも可能で、世界中のあらゆる地域で実行されてきた。しかし一度自然を失うと、二度と元の自然を取り戻すのは不可能だ。「破壊は一瞬、建設は死闘」である。狭い日本の土地のなかで、宍道湖の良さをいつまでも後世まで残していきたいものだ。そうすれば素晴らしい恵みが、美しき宍道湖からプレゼントしてくれるであろう。ありがとうの感謝を込めて味噌汁をいただきます。

撮影2005年 秋