◆うだつのある町並  

 かれこれ8年前のことである。次女が通う高等学校のPTA会長を、2年間勤めさせて頂いた。それまで婦人パワーの凄さは、見聞きして知っているつもりでいたが、改めてPTA婦人パワーの活動の偉大さに頭が下がった。学校のため子供たちのために、健気に一生懸命に尽くしている姿には、見ていて感心させられるばかりだ。このように頑張っている人達を慰労するため、年に一度日帰研修が持たれた。

  行き先は四国・徳島県。バス2台に分乗しての団体旅行だ。途中、世界一の吊り橋「明石海峡大橋」を渡り、淡路島から「大鳴戸橋」を渡れば四国に入る。訪ねた先は「うだつ」で有名な脇町であった。古い家々が軒を連ねる通りを歩いた。ここはまるで江戸時代にタイムスリップしたような、錯覚を感じさせる町並みであった。白壁に豪華な瓦屋根、虫籠窓(むしこまど)、格子造り、いずれも見事な建築である。よく今日まで大事に保存されていたものだと感心させられる。

  ここは1988(昭和63)年に「重要伝統的建造物群保存地区」として、全国で28番目に指定されている。歩きながらふと2階の壁面に目をやると「うだつ」があった。これは袖壁で火よけ壁とも呼ばれており、防火の役目を果たしているものだ。江戸時代の裕福な家には、このような「卯建(うだつ)」をあげた立派な建物がたくさんあった。

  「うだつが上がらない」という言葉を聞いたことがある。ぐずぐずしていて要領が悪い。一向に出世しない。このような人を捉えて表現される言葉に使われている。一緒に歩いていた婦人連中から「うちの亭主もこれと同じね。健康だけしか獲り得がないんだから」と、冗談のような愚痴も飛び出した。私もそう言われないよう「日々努力精進」に励まなければいけないと反省した。

撮影2005年 秋