◆夢の島熱帯植物園

 東京の都心のなかで、森とか公園の木々を見ると何故かホッとする。これらの木の緑は人間の目を通って、身体全体にそして心までにも癒してくれる。シンガポールの国はガーデンシティーと呼ばれていると聞いたことがある。町のなかは緑がいっぱい。まるで緑のなかに建物があるように思える。実に素敵な町である。反対に東京はビルの林立する町であり、車と人で溢れ返っていた。

  秋晴れの素晴らしい天気の日であった。「夢の島熱帯植物園」は東京湾のウォーターフロントの一角にあった。周りにはユーカリの木をはじめ、大きな木がすっかり定着して育っており、とても人工の島とは思えなかった。ここはゴミを処理するために出来た島であり、それを見事に整備され、今では多角的に有効利用されている。

  植物園には身障者の子供と、その家族の人達が入場しようとしていた。近くの養護学校からの見学会なのであろう。みんな美しい花を見て喜んでいる顔を見ると、私も自然と嬉しくなってくる。健康な人から見れば哀れにも不自由にも思えるかも知れないが、悩み苦しんでいる時に彼らを見ると、何と幸せな人達なのかと思えてくるから不思議なことだ。

 大温室の中には見応えのある熱帯植物が、所狭しとまるでジャングルのように育っていた。丁寧にも花の名前、木の名前をプレートにして教えてくれる。植物と人間の生活には深い関わりがあり、植物がなければ人間は生きていけない。つまり私達にとって大事な「宝物」なのである。

 撮影2005年 冬