◆灯台の役目

 私は海が好きだ。広々とした海を目の前にして育った。魚釣り、海水浴、海と遊んでいると、何故か気持ちが大きくなっていく。中学に入って海洋少年団に入部した。体力づくり、手旗信号、カッター(救命ボート)の練習等、厳しい毎日が続いた。海に出て実習もあった。大海にあって自分の位置を知るには。六分儀の使い方。北斗七星の位置。灯台の役割。船内でのロープの使い方。興味は尽きなかった。

 兵庫県西宮市の甲子園球場の近くに今津港はあった。高速道路から降りて海岸線を走ると、小さな木造の灯台がある。それが「今津灯台」である。一目で歴史を感じるものであるとわかる。ここは「灘の生一本」、室町時代より清酒の本場である。立地条件の良さから、江戸をはじめ全国へ運ぶのに、船が大活躍をしたのは当然のことであった。

 その海の安全を守るため、お酒の大関の長部家5代目長兵衛が、私費を投じて建てたのがこの灯台であった。時に1810年のこと。島国日本としては海と切り離しての生活はありえない。海の恵みによって生きているといっても過言でない。その後、西洋式の灯台が神奈川県三浦半島の観音崎灯台として、全国で最初に建てられた。現在では3298基もの灯台が全国各地で活躍している。

 

 「♪〜おいら岬の燈台守は 妻と二人で沖ゆく舟の 無事を祈って灯をかざす 灯をかざす ♪〜」とは、「喜びも悲しみも幾年月」の映画の主題歌である。人の安全のため、人の幸せのために生きる人生こそ最高の生き方だと思う。たとえそれが誰からも評価されなくとも。 

撮影2005年 秋