◆ 古代への夢・登呂遺跡

 遥か2000年前に遡って、日本人の古代ロマンに思いを馳せてみた。JR静岡駅を南に約2km。住宅地のなかに少々広めの公園と田んぼがあり、稲穂は今にも頭を下げかけようとしていた。登呂遺跡はそんな所にあった。

 それは弥生時代の後期である。この辺りには12軒の住居と二棟の倉庫があり、60人ぐらいの村人が生活していた。食料は水田を中心に動物、魚も獲っていたようだ。その証拠として竪穴式住宅、高床式倉庫の遺構のほかに、農耕、狩猟、漁労のための道具が出土している。

 1943(昭和18)年の戦時中のことであった。軍需工場の建設工事中に表土を採るため、掘り返された時に発見される。終戦後の昭和22年7月より考古学者の指導のもと、本格的に大規模な発掘調査が行われている。そして貴重な遺跡であることが判明していくなか、昭和27年11月に国の特別史跡に指定されている。思い出せば私たちが小学校の授業のなかで、社会科の歴史にも登場しており、その名はあまりにも有名になった。

 当時の日本の人口は60万人と推定されている。現在の東京・足立区の一つの区よりも少ないことになる。それが日本国中に散らばってそれぞれに生活している。想像するだけで夢が広がり楽しくなってくる。今の私がタイムトンネルに乗って、登呂遺跡の人達と一緒に生活できれば、どんなに素晴らしいことか。そこで話したいことは山ほどあり、時を越えた友情が芽生えるかもね。

撮影2005年 秋