◆酒造会社が化粧品を

 これまでの人生でテレビに写ったことが何回かある。そのうちの一回が「日本盛」のお酒の新商品発表会の席であった。「健醸(けんじょう)」という健康に優しい日本酒の開発に成功。大阪のホテルで試飲をしているところを、女性リポーターからの取材。「うーん。これは美味いね!」私は満足そうな喜びの表情で声を発した。本心から出た言葉であったが、テレビをたまたま見られた方から、感情がこもっていて良かったとのことであった。

 創業116年を迎えた「日本盛」。清酒メーカーでは全国約1,500社あるなかで、絶えず上位5本の指に入る実績を誇っている。しかし近年お酒の種類の多様化により、日本酒離れが急速に進み、各メーカー共に厳しい状況下に置かれている。

 日本盛はいち早く、日本酒とは別に「化粧品」の開発に着手した。米ぬかをベースとした自然派化粧品は、見事に女性の心を捉えた。おりしも「通販」ブームにも乗っかり、業績は右肩上がりの素晴らしい伸びを示した。我が家の女性軍も「洗顔クリーム」は特にお気に入りで、さらに保湿効果抜群の「エッセンス」は実に優れものであり常用している。その他、驚いたことにフリーズドライ製法の「味噌汁」も、健康サプリメントにも手掛けられ、これからの伸びが大いに期待されている。

 

 西宮の酒造メーカーが建ち並ぶ一角に、日本盛の本社はある。その近くに「酒蔵通り煉瓦館」があり、お酒の試飲から、日本盛の様々な商品の販売、ガラス工房、多目的ホールもある。そして日本料理店「花さかり」がある。店の名前は公募して決まったのだが、私も「花盛(はなさかり)」で応募して、残念賞を頂いた。誠に「残念」な良き思い出となった。

撮影2005年 春