◆エンパイアステートビル?

 「あれは何だろう?」 新宿にエンパイアステートビルが建っていた。夕暮れ時に、初めてその建物を見て私はそう思った。驚きであった。天を突き刺すように先が尖ったビルは、遠くからでも目立っていた。デパート? ホテル? それとも会社? 正解は「NTTドコモ代々木ビル(ドコモタワー)」である。

 それは携帯電話の会社であった。このビルは2000年10月に竣工。大時計の直径は15mもある。そしてビルの高さは約240m。ちなみに最高部の赤白はクレーンだとか。携帯電話が発売されたのは1987(昭和62)年であった。現在では(NTTドコモ、au,ボーダフォン、ツーカー)の4グループが電話事業を行っている。

 我が家は6人家族。携帯電話は6台で一人1台持っている。自宅には家庭用電話にFAX。それにパソコンを入れると、毎月の通信費はいくらになるのか。これまであまり気にかけたことはなかったが、なんだか恐ろしくなってくる。今から40年前を振り返ると私は高校生であった。その時の生徒名簿をめくって見ると、自宅に電話がある家は100人中、10〜15人程度であった。10年前の娘の小・中学校の名簿を見ると、電話のない家は一軒もない。

 時代は急速に変化している。それぞれのライフスタイルも変化している。今の若者には家庭用電話は必要ないようだ。携帯電話さえあれば直接相手に通じ、何時でも、何処でも話せることが魅力だ。昔から見ればまるで夢のような便利さである。携帯電話を自宅に忘れてしまうと、一日中不安で落ち着かない。しかし持っているだけで安心を与えてくれる。今となってみれば、もう一度携帯電話がない時代に戻ってみたい。それは自由?で束縛と監視から解放された毎日。「きっと幸せだろうなー」と。

撮影2005年 春