◆美しき千種川

 川面のあちこちで魚が元気よくピチピチと跳ねていた。美しい青空が穏やかな流れに写り、コバルトブルーに輝いていた。そして見る角度によって川は光り、踊っているように見える。渡り鳥も楽しげに遊んでいた。ここは兵庫県西部に流れる「千種川(ちぐさがわ)」である。この美しき清流は全国名水百選の一つとなっている。

 千種川は中国山地に源を発し、幹川流路延長67.6kmに及び、赤穂市に流入して瀬戸内海に注いでいる二級河川。上流は標高1000m近い山地より、険しく荒々しい流れを経て、民家の少ない自然のなかを流れる。きれいな水にしかいない「鮎・あまご・いわな等」の魚が豊富に生息している。釣り天国の有名な場所となっている。そして下流に行くにしたがって川幅は広く、悠然と流れていくなかで、穏やかな瀬戸内海に吸い込まれて川は消えてしまう。

 私の好きな美空ひばりの歌に「川の流れのように」がある。これは人生を川の流れに譬えた歌である。

「♪〜知らず知らず 歩いてきた 細く長い この道

振り返れば 遥か遠く 故郷(フルサト)が見える

でこぼこ道や 曲がりくねった道  地図さえない それもまた人生

ああ 川の流れのように ゆるやかに いくつも 時代は過ぎて

ああ 川の流れのように とめどなく 空が黄昏(タソガレ)に 染まるだけ」

 

 美しい自然のなかで、いつまでも綺麗な水が流れいく千種川よ!永遠に。

撮影2005年 冬