オリンピックの経済効果

 東京オリンピックが開催された。国立競技場で行われた開会式を、カラーテレビで見た。当時カラーテレビはまだまだ少なく、殆どがモノクロの映像であった。天然色の画面は実に美しい。これまでの生活から、急速に発展している日本が感じられた。

 これに間に合わせて新幹線が東京――新大阪間が開通。日本で初めて本格的高速道路が首都圏と名神に開通。そして空の玄関口、羽田空港と都心を結ぶ最新の乗り物「東京モノレール」が完成した。時に1964(昭和39)年9月17日に営業されている。

 第18回夏季オリンピックは、アジアで初めての開催となった。93カ国・地域の参加は過去最高で大いに盛り上がった。参加人数5133人。実施種目20競技163種目。1964(昭和39)年10月10日は日本の歴史上忘れ得ない、国際スポーツの祭典・オリンピックの開会式となった。昭和天皇の開会宣言。体操選手第一人者・小野喬の選手宣誓。最後の聖火ランナー坂井義則。平和の象徴「ハト」が、日本晴れの空に元気良く舞い上がる光景が、昨日のように目に浮かんでくる。

 日本の獲得メダルは、アメリカ、ソビエト連邦に続き世界第3位で、金16、銀5、銅8の過去最高の数であった。この時私は高校2年生であった。柔道部に入って青春をスポーツに懸けていた。そんな私でも日本の国が大きく発展しているのを身体で感じ取れた。おそらく日本人全員が同じ思いであったに違いない。

 東京オリンピックの遺産?「東京モノレール」は今も元気に走っている。嬉しい限りだ。私も何度も利用させて頂いた。大混雑している高速道路を横目に、スイスイと走り乗り心地も快適だ。思い出せばあれから41年。日本経済は更なる発展を続けている。それに比べて人間の最も大事なものが置き去りになってしまっている。それは「心」だと思う。それも「健康な心」こそ大切なのだ。

撮影2005年 冬