◆旧芝離宮恩賜庭園

 一瞬の時間ではあるが、窓から見事な日本庭園を見ることが出来る。それは東海道新幹線で東京駅を出てすぐの浜松町駅東側に位置しており、一目見ただけで由緒ある庭園だとすぐに理解できる。これまで何度も新幹線に乗るたびに、一度見学してみたいと前々から願っていた。

 本年2月たまたま浜松町駅の近くに所用で行くことになった。意識を持っていたらいつか願いは叶うものである。その公園の前を通りかかったのである。入り口には「旧芝離宮恩賜庭園」とあった。入場料は150円。ペットボトル一本の値段。あまりの安さに気が抜けるようであった。

 江戸時代の1678(延宝6)年に老中・大久保忠朝が下屋敷として賜り、藩地の小田原から庭師を呼び寄せて作庭。8年かけて完成したのがこの庭園で「楽寿園」と名付けられた。その後幾多の変遷を経て、1876(明治9)年に離宮となる。1923(大正12)年の関東大震災では、建物をはじめ樹木等、壊滅的な打撃を受け廃墟となってしまう。その翌年に昭和天皇のご成婚記念として東京市に下賜。市は復旧・整備に努め同年一般公開している。

 江戸最古の大名庭園として、興味深く見学させて頂いた。日本庭園の特長としては、池を中心に橋を渡し、周りの樹木が見事に整備されている。これらの総合的なコントラストが評価されているようだ。

 この日は春を思わせる温かな陽気であった。入り口近くで小さな子供を連れた母親が数人、楽しそうに語り合っていた。母親達は子供を通してすぐに友達になれるようだ。子供達もすぐに打ち解けて仲良しになる。平和な光景を見る思いがした。私が帰る時も同じ所でまだ喋っていた。

撮影2005年 冬