◆東北新幹線の粋な計らい

 受験シーズンの到来だ。自分の希望する学校目指して、それぞれがベストを尽くして頑張っている。人生のなかで勝つか負けるかの大事な戦いだ。私の末娘も目前に迫った大学受験に必死の毎日だ。とはいえ、寸暇を惜しんで勉強に励んでいるかと言えばそうでもない。ご飯を食べる時が一番楽しみなのであろう。ゆっくりとテレビを見ながら、大声で笑いながら楽しんでいる。これで良いのだろうかと、心配するのは親ばかりである。

 心温まるニュースが流れた。それは2月2日の朝のことであった。大学入試の高校3年生の受験生が、東北新幹線の列車を間違えて乗ってしまった。慣れない新幹線での一人旅。それも緊張する受験であった。「Maxやまびこ104号」は目的地の郡山駅を通過してしまった。次に停車する駅は埼玉県の大宮駅まで止まらない。男子学生は慌てて車掌に相談。この連絡を受けた新幹線運行本部は、後続列車の影響を確認した上で、車内放送で臨時停車する旨を乗客に説明したのである。もし私が乗っていれば、拍手を送りたい気持ちになったであろう。そしてその時の乗客の誰もがそう思ったに違いない。

 その列車は本来停車駅でない「宇都宮駅」に臨時停車した。その甲斐あって受験生は無事に、試験開始の時間に間に合ったとのこと。子を持つ親としてこの特例の「粋な計らい」に、JR東日本に感謝したい気持ちであろうと思う。

 暗いニュースばかりが目立つ今の世の中にあって、このような心温まるニュースがもっと紹介されるべきである。テレビ・新聞でも、人の優しさや思いやりの心を大事にする記事が大半を占めるようになれば、もっと住みよい社会になるように思うのだが。

撮影2005年 冬