◆HAT神戸

 神戸の中心地は三宮・元町である。この中心地を挟んで、西隣にはウォーターフロントの開発で成功した「ハーバーランド」がある。ここは「商業地域」で、阪急百貨店、ダイエー、モザイクをはじめとする多種多様のショッピング街、食事街がある。更にホテル、遊園地、観光船から一部住宅地まで揃っている。

 そして中心地の東隣のウォーターフロントには、阪神淡路大震災後に新たに開発された「HAT神戸」がある。ここは「アカデミックな地域」で、兵庫県立美術館、人と防災未来センター、ひょうご国際プラザ、日本赤十字社等がある。勿論、復興住宅をはじめ住宅地域もあって、人の流れも出来ている。この「HAT神戸」は「Happy Active Town」の頭文字を組み合わせたもの。六甲山を背に神戸港に面した素晴らしい地域に、「誰もが幸せで、活気あふれた町」を目指す。ここは震災復興プロジェクトのシンボルでもあるのだ。

 ここの120haもの土地は、神戸製鋼所脇浜工場の跡地を利用したもの。私の父もこの工場で働いていたことを思い出す。父は朝7時に家を出て、夜6時45分には帰宅する。1分の時間の誤差もない真面目な人であった。育ち盛りの私にはお腹が減って、6時45分が過ぎての夕食はとても待てなかった。しかし一家揃っての夕食は破られることはなかった。今もその父は元気で暮らしている。私にとっては満足な親孝行はとても出来ていない。しかし元気な父を見ることが私の喜びだ。

 その後「HAT神戸」には美術館をはじめ、新しく完成した温泉にもよく訪れる。見事な町の完成を誰もが喜んでいるようである。ここに来ると潮風と共に、父の匂いがするような気がする。若き日に仕事に頑張っている姿が目に浮かぶようで、感謝の思いで胸がいっぱいになる。

撮影2005年 冬