◆ 丹波の森の分水界

  春になれば小川の両岸が、華麗なる桜のトンネルとなる。そして眩しいばかりの新緑。燃える紅葉。雪が舞い散る丹波の里。日本の四季は実に美しく変化していく。人間の故郷、心の故郷のように思える豊かな自然が、都会育ちの我われを快く迎えてくれる。

 そこに日本一低い中央分水界がある。山に降った雨は小川となり、水分れ公園を通り流れは左右に分かれる。右に流れれば北に向かい、由良川を経由して日本海に。左に流れれば南に向かい、加古川に合流して瀬戸内海へ。それぞれの海にたどり着くには70キロほどの距離になる。ここは言わば人生の分かれ道であるのかも知れない。日本海か瀬戸内海か。

 私の好きな曲の一つに「川の流れのように」がある。美空ひばりが川の流れを、人生にたとえて歌った名曲である。「♪〜生きることは 旅すること 終わりのない この道----------ああ 川の流れのように ゆるやかに いくつも 時代は過ぎて--------」 私の人生もこれから先々、どのように流れていくのであろうか?

 

  ここ丹波市氷上町の水分れ公園近くに、有名な旅亭旅館「大和」がある。これまで何回か利用させて頂いた。美人女将で有名だが、全く気取ることなく仕事をテキパキとこなす。それでいて気さくにしゃべれる雰囲気は、誰からも好かれ私も大好きな素敵な女性なのだ。丹波の名物の一つに「牡丹鍋」がある。この店でも良く食べさせて頂いたが、この地には猪が多く生息している。豊富な山野のえさに恵まれ、寒冷と広い地域を移動することで肉が締まっている。それに地元の野菜がたっぷりで、味噌味ベースは冬の味覚としても、身体が温もり大変に人気がある。是非一度ご賞味あれ。

撮影2004年 秋