◆ 白雪の伝統に敬意

 創業455年。日本の歴史を見ても、これほど永く続いている企業は少ないのではないだろうか。「清酒発祥の地」兵庫県伊丹市に本社がある“白雪”でお馴染みの「小西酒造」である。古くからの財閥であっても、合併せざるを得ない今の時代にあって、455年間に亘って生き続けた秘訣は何だったのか?

  それはいつの時代にあっても、商品それ自体を消費者が求め続けていることが第一だと思う。企業はそのニーズに応えて、原材料の仕入れ、生産、販売を絶え間なく働き続けた結果であろう。そして食品の品質の良さ、安全、価格の安定等、信頼を勝ち取ったからである。お酒という特殊性も大いにあることも事実である。しかし世の中の様々な変化に対応しつつ、社内での諸問題も全て乗り越えなければならない。

 多くの清酒ファンに愛されることが大事であり、江戸時代においては、頼山陽、松尾芭蕉、近松門左衛門、井原西鶴等、多くの文化人、時の有名人と小西家は交流があった。これは今流に言うと、素晴らしい当時の広告塔であったのかも知れない。

  「山は富士 酒は白雪」とのキャッチフレーズは一世を風靡した。会長の小西新右衛門氏とはこれまで親しくさせて頂いた。

 会長が撮られた富士山の写真は実に見事である。一週間もの時間を割き、朝早くから夜まで、そして四季を通して一瞬のシャッターチャンスを狙った。体力と根気、執念にも似た情熱がなければ出来るものではない。その貴重な作品の中から「朝焼け富士」の写真を額に入れて頂いた。感激をした。嬉しかった。命を懸けて撮られた物を頂いた思いであった。こうした「心の交流」がある限り、伝統は更に更に続いていくことと私は信じている。

撮影2005年 冬