◆ 黄葉のパワー

 黄金色が太陽に反射して輝いていた。これまでこんなにも鮮やかな黄色を意識したことはない。秋の季節を感じるのは人それぞれであろうが、イチョウの葉が緑から黄色に変わる時もその一つであろう。

  子供の頃、赤く染まった「もみじ」と、黄色く色付いた「イチョウ」の落ち葉拾いをしたものだ。出来るだけ綺麗な色と形を探して、本の間に挟んでおいた。すると数日で押し葉ができ上がる。永く美しいまま保存が出来る知恵を学んだ。

 今では全国各地でイチョウ並木が見られる。実に美しいものである。有名な所では神宮外苑、新宿御苑、横浜・山下公園、大阪・御堂筋等、身近な公園から道路にいたるまで。日本の気候風土に本当に良く合っているのだろう。この写真は東京の「昭和記念公園」にある見事なイチョウの木であった。

 イチョウにはいろんな効能があるようだ。イチョウの葉のエキスは脳にいいとか。大阪の読売テレビに勤める優秀な知人がいた。一時期親しくお付き合いをさせて頂いた。その彼は大の銀杏の信奉者であった。銀杏には滋養強壮、ぜん息、咳止めの他、体には最高の食べ物だとのこと。飲みに行くとビールのおつまみなどで銀杏が出ることがある。その時には瞬時に彼の顔が目に浮かんでくる。以来、何事にも信じやすい私は、スーパーなどで銀杏が売っていれば購入することにしている。味は生臭い時もあるが私は好きだ。それは彼を信じているからなのかも知れない。

 イチョウの木は逞しく見える。それは春夏秋冬それぞれに、精一杯生きる力を感じるからだ。黄葉の変化は人生の黄昏にも思える。しかしその時が最高に美しい輝きの姿なのだ。

撮影2004年 冬