◆憩いの昭和記念公園

 時折冷たい風が頬を打つ。間もなく冬が近づく気配を感じる瞬間だ。さえぎるものが何もない広々とした公園であった。東京・青梅線の西立川駅を下車して「国営昭和記念公園」を訪ねたのは初めてのことであった。都会の中で、これ程まで自然を大事にした公園が造られるとは、さすが「国営」だと思った。

 今から39年前になるが、東京の大学に入学して初めて住んだのが青梅であった。青梅駅から御茶ノ水駅までの電車通学は1時間半程かかった。毎日立川駅で乗り換えるが、下車したことは一度もない。その頃は昭和記念公園も無かった。しかしこの辺りはさすが関東平野だと思った。山らしい山が全く見当たらない、広々とした平野なのだ。 この公園は昭和天皇陛下御在位50年記念事業の一環として、立川飛行場跡地(総面積180ha)に建設されたもので、現在はその内の約148haが開園している。

 園内に入ると目の前には美しい「水鳥の池」が広がっていた。静かな池には紅葉が写っており、時折風がそれらを揺らしていた。周りの木々にはあちこちで小鳥たちの元気な囀りが聞こえてくる。楽しく遊んでいるのであろう。広い園内を新鮮な空気をいっぱい吸いながら歩いていると、身も心も癒される感じがしてくる。更に奥に行くと日本庭園があった。造られた庭だが実に見事である。日本人の「美しい心」そのものを表現したものであるように思える。私は国営でのこのように素晴らしい公園造りに対しては大いに賛同している。訪れる人の健康を考えると高く評価したいのだ。

撮影2004年 冬