◆ 静かな湖畔

  「♪〜静かな湖畔の森の影から  もう起きちゃいかがと  カッコウが啼く  カッコウ  カッコウ  カッコウ  カッコウ  カッコウ」。これはアメリカ民謡で、小学生の時に学芸会などで輪唱曲として歌ったことを思い出す。六甲山脈の少し山奥に入ると、この歌のイメージがピッタリの所がある。そこは再度山公園にある「修法が原」(しょうがはら)の池である。海抜380mに位置する。小中学校の時にJR元町駅より2時間余りかけて、急な坂道を歩いて登ったことを思い出す。

 けっこうきつい道のりであった。美しい湖畔と広い公園が見えると安堵感で、これでやっと弁当にありつける、その喜びで元気も出てくる。こうした時はパンより、やはりおにぎりのご飯のほうが絶対に美味しい。特に母の作ってくれたものが一番だ。頑張って登りきった満足感。そして静かな湖畔、清々しい空気をいっぱいに吸いながら、親しい友と食べる幸せな時である。終わればボートに乗って楽しみ、ボール遊びで汗をかく。    

  ここ再度山(ふたたびさん)は、弘法大師が二度も登ったことで再度という名が付けられたとか。歴史を感じざるを得ない。更に奥に行くと外人墓地がある。明治時代に始まった神戸の居留地に、多くの外国から移住された方々の墓である。

 この日は特に美しい秋空であった。少しまわり道ではあったが再度山公園に立ち寄ってみた。昔のままであることに嬉しさと、当時の思い出が蘇ってくる。あたりは小鳥達の可愛い囀りだけが聞こえている。そして静かな湖面には美しい紅葉が写っていた。

撮影2004年 秋