◆ 瀬戸大橋は日本の夢を実現

 川に架かる橋、海に架かる橋,渓谷に架かる橋、鉄道を越える橋、道路を越える橋。橋が架かることで生活するにも、経済的にも便利な結果が得られる。そのために今日まで、人類は膨大な時間と費用を掛けて造り続けてきた。人間には豊かさと便利さを求めて限りない夢とロマンがある。それゆえにあらゆる面で大発展の歴史が今日まで続けられているのである。

 島と島を結ぶ手段にはトンネルを掘るか橋を架ける以外にない。本州と九州を結ぶのには1958(昭和33)年「関門トンネル」が開通。更に本州と北海道を結ぶのは、世界一のトンネルの長さになった「青函トンネル」(53.9km)が1988年3月に開通している。同年4月には本州と四国の間に「瀬戸大橋」が架かり念願の陸続きとなった。1998(平成10)年4月には「阪神淡路大震災」の災害を乗り越えて世界最長の吊橋「明石海峡大橋」が完成。淡路島を通って四国までは、それ以前に開通していた「大鳴門橋」により2本目のルートとなる。更に1999(平成11)年5月には新尾道大橋、多々羅大橋、来島海峡大橋が完成したことで「しまなみ海道」が三番目のルートとして開通となった。

 瀬戸内海は日本で最初に国立公園に指定された広大な地域である。美しい海、そして数え切れない大小の島々があり、日本経済を支える海上交通の大事なルートになっている。本州と四国との間は気の遠くなるような距離である。ここを陸続きにするために橋を架けようというのである。それは日本の太古の昔からの夢物語であった。しかし近年の人間の能力と技術の発展には目覚しいものがある。1988(昭和63)年4月10日瀬戸中央自動車道(瀬戸大橋)が開通した。日本の夢は実現した。道路37.3kmと鉄道32.4kmの上下二層の橋で、世界でも最大級の橋染が連なる姿は実に壮観である。

 瀬戸大橋を渡っている途中に、たった一つサービスエリアがあり下車できる島がある。「与島」である。これまでも何度か立ち寄ったことがあるが、ここは広大な瀬戸内海の海の真ん中、ロケーションは最高。行き交う船は後を絶たず、見ているだけで時間の経つのも忘れてしまう。

撮影2004年 夏