◆ 千葉ポートタワーは鉛筆のよう

 私は知らない所、初めて行く町では出来るだけ高い山とか、ビルの最上階、或いはタワーの上に登って、その町を一望するようにしている。そうすることでその町の全貌がわかり、そのあと歩いていても自分の位置と、方角までが確認できる。

 千葉市にはこれまで車とか、電車で通過したことはあっても、降りて街中を見て回ったことはなかった。初めて見る千葉駅はさすが県庁所在地だけあって、周りの建物も立派であった。特に駅前の「そごう」は大型店舗で地域の顔として、多くの人から利用されていることが中に入って雰囲気で分かる。私の知人で「加古川そごう」の販売促進の部長が転勤して、この店で店長をしていたことを思い出した。素晴らしい店であることはよく彼から聞いて知っていた。店内では彼の匂いがするような懐かしい思い出が甦ってくる。今彼は「神戸そごう」に帰ってきている。

 「千葉ポートタワー」に行きたくってJRの職員に尋ねたが、素っ気無い態度でバスで行けばいいと教えてくれた。バスターミナルに行ってみると、沢山の停車場がありどれに乗ればいいか、少し探しては見たがサッパリ分からない。しかたなく案内所があったのでそこで尋ねてみた。懇切丁寧に一番速いバスを探してくれ、メモに時間帯まで書いて説明してくれた。旅先でこのように親切な対応をしてくれると、本当に嬉しくなってくる。その女性は千葉美人とでも言うのか、素晴らしいセンスを持主のように思えた。頂いたメモを見ると、文字まで綺麗に見えてくるものだ。そして千葉の印象までよく見えて来る。人間の感情とは全く不思議なものである。

 彼女のお蔭で無事「千葉タワー」に着いた。その手前には「県立美術館」もあり、数人の見学者が出入りしていた。このタワーは1986(昭和61)年6月に国際港千葉のシンボルとして、千葉県民500万人突破記念として建設された展望施設である。地上113mからの眺めは千葉市内は勿論、遠くは富士山、筑波山も見ることが出来る。鉛筆のようなこの建物は更に免震装置が施され、地震や風の揺れから守られるようになっており、阪神淡路大震災を経験した私にとっては、大いなる安心を与えてくれたように思えた。

撮影2004年 夏