◆ 札幌の赤レンガ

 札幌の町は実に美しい。一目見て誰もがそう感じるであろう。碁盤の目になった町並みに新しいビルが整然として建っている。駅ビルの百貨店、華やかな商店街、ネオンきらめく歓楽街。地下鉄の発達と、道路に電線が出ていないため、極めてサッパリとして見える。日本を代表する人口180万人の大都市である。100年余り前の北海道開拓使が置かれた当時は、わずか1000戸ほどでしかなかったと聞く。その発展は日本の歴史の中でも目を見張るものがあり、ここはそれほど魅力ある都市なのである。

 札幌の中心部を歩いていると一際目を引く建物に出くわす。周りのビルから遊離した歴史を感じさせる立派なもので、思わず立ち止まって見とれてしまう。「赤レンガ」と呼ばれて親しまれている「北海道庁旧本庁舎」である。文字通り赤レンガ150万枚使って明治21年に完成。外観は米国風ネオバロック様式で、クラシックな味と見事な佇まいを見せてくれる。国の重要文化財に指定されている。

 更に美しいのは建物だけでなく前庭に二つの大きな池と、木立と花壇を配し季節を一杯に感じ取れる。私が訪ねた時は、両手で囲む程の大きなチューリップの花が色とりどりに咲いており、濃いピンク色の八重桜が見事に満開。北国の永く厳しい冬が終わると、桜も梅もライラックも何もかもが一斉に咲き誇り、街は華一色の「素晴らしい春」を迎える。特にライラックの香りは心を和ませてくれる。あまりの美しさにカメラで何枚も撮り続けた。それは私だけでなく多くの人たちが同じであった。 

撮影2004年 春