◆アメ横は庶民の市場

 私は東京にいた10年間にアメ横に来て買い物をしたこともなければ行ったこともなかった。しかし決まって年末の大晦日にもなると、アメ横の賑わいがテレビで放映される。見るからに安いということが一目で分かる。人が競って買い物をする姿は元気な日本の象徴にさえ思えてくる。先日写真を撮ろうと思いつき、アメ横を歩いてみた。不思議なことに初めて来たように思えないのである。それほどテレビで見慣れた場所なのである。

 歴史を振り返ってみるに、太平洋戦争では日本の主要都市は壊滅的な打撃を受けました。それは首都・東京も同じであった。そして敗戦を迎えると食物も生活用品も、なかなか簡単には手に入らなかった。

 勿論住める家さえ、もまともなものは無かった時である。あちこちでヤミ市が開かれた。当時の記録映画を見ると、占領軍のアメリカ兵から物乞いする、日本の貧しい子供たちの姿が映し出されている。ジープの上からガムやチョコレートを配ったり放り投げたりする。日本人としては心痛むシーンではあるが、戦勝国と敗戦国の差が如実に出ている。仕方ないといえばそれまでだが、反対にアメリカ人のおおらかさや裕福さがうらやましくも思えた。アメ横はこうした時代に誕生している。特にここではアメリカ進駐軍の放出された物が多く売られていたために、このような名が付いたとか。そう言われてみると町並みが、どことなくそのような歴史的雰囲気が漂っているように思えてくる。

 山手線の上野駅から御徒町駅の約300mのカーブを描くガード沿いに、500店舗以上もの店が所狭しと軒を連ねている。ここは毎日がまるで縁日のような賑わいで活気にあふれている。歩いているだけでも楽しく、品物の豊富さについ目を奪われ足を止めてしまう。食品をはじめ衣料、日用雑貨、貴金属と売れるものはなんでも売っているようにも見える。それがまた結構楽しいものなのである。

撮影2004年 冬