◆日本の歴史に「皇居」あり

 「この写真を見てあなたは何を思い出しますか?」と聞かれれば、私は@天皇 A終戦記念日 B中学校の修学旅行 C私の大好きな島倉千代子の歌「東京だよおっかさん」 D古くは江戸時代、まだまだたくさん頭に浮かんできます。日本人にとって何か故郷のようにさえ思えてなりません。

 ビルと住宅の密集する世界一巨大なる都市・東京にあって、ここ皇居の緑、水、空気、そして広々とした空間は、今の時代にあて造って造れるもので決してない。偉大なる先人のすばらしい贈り物でもあるように思います。「日本の歴史の中でもっとも悲惨な出来事は何ですか?」と聞かれれば、私は即座に「太平洋戦争」と答えるでしょう。大量の犠牲者を出し、大量の財産を奪い、国民に生きる希望さえ奪い取る、戦争ほど悲惨なものは絶対にありません。悲しい悲しい二度と起こしてはならない歴史であります。

 そのピリオドが打たれた1945(昭和20)年8月15日正午、皇居前広場にて涙に咽ぶ多くの人たちが、天皇の敗戦宣言を聞き、泣き崩れる様子の映像が目に焼きついて離れません。あれから半世紀以上が過ぎた今、私は皇居前に立って日本の現状を思うにつけ、平和のありがたさに思わず感謝の涙を流してしまった。「このまま永久に平和が続きますように!」と願いつつ。

撮影2003年 春